債務整理の準備|相談の前に取引履歴を取り寄せる
相談に行くと、最初に聞かれるのは借入先ごとの残高です。
総額ではありません。 どの手続きを選べるかが、1社ごとの額で決まるためです。
なぜ1社ごとなのか
司法書士に任意整理を頼めるのは1件140万円までで、しかも認定を受けた司法書士に限られます。上限は借金の総額ではなく、1社ごとの額にかかります。
保証人がいる借入先があるかどうかでも、選べる手続きが変わります。司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれる、債務整理の種類は決める人で分かれるにまとめました。
手元に資料が無くても取り寄せられる
契約書も明細も残っていない、という状態はよくあります。そのために条文があります。貸金業法19条の2です。
債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。
読みどころを挙げます。
「債務者等であつた者」も請求できます。 完済して契約が終わっている相手にも請求できるということです。
そして貸金業者は原則として拒めません。 拒めるのは「権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるとき」に限られます。
その帳簿は備えることが義務づけられている
請求する先の帳簿は、19条が備え置きを義務づけているものです。
貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
契約年月日・貸付けの金額・受領金額が並んでいます。いつ借りて、いくら返したかが記録されていることになります。
これが取引履歴と呼ばれるもので、払いすぎた利息の計算にも使います。計算の考え方は過払い金の仕組みは上限金利で決まるにまとめました。
返すたびに書面が出ている
18条1項は、弁済を受けたときの書面の交付を義務づけています。
貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。
各号に、契約年月日、貸付けの金額、受領金額とその利息、受領年月日が並びます。
ただし2項に例外があり、口座振込などの方法で弁済を受ける場合は弁済をした者の請求があった場合に限り適用されます。引き落としで返している場合、こちらから求めなければ書面は出ません。
契約したときの書面にも項目が決まっている
借りたときにも書面が出ています。17条1項です。
貸金業者は、貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。第四項において同じ。)を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその相手方に交付しなければならない。当該書面に記載した事項のうち、重要なものとして内閣府令で定めるものを変更したときも、同様とする。
各号は、商号・名称または氏名と住所、契約年月日、貸付けの金額、貸付けの利率、返済の方式、返済期間と返済回数、賠償額の予定があるときはその内容です。
利率がここに書かれているので、手元にこの書面が残っていれば上限を超えていたかどうかの見当が付きます。残っていなければ、上の帳簿の開示で確かめることになります。
準備する順番
- 思い出せる範囲で借入先を書き出す
- 信用情報を開示して、抜けている先が無いか確かめる
- 残高が分からない先には取引履歴の開示を求める
- 保証人がいる借入先に印を付ける
- 毎月いくらなら返せるかを出す
2で借入先の抜けが見つかることがあります。信用情報の見方は債務整理のブラックリストは信用情報にどれだけ残るかにまとめました。
1と4は自分でできます。 そこまで用意していくと、相談の場で選べる手続きの話に進めます。
収入と支出も書き出す
残高だけでなく、毎月の収入と支出も聞かれます。返せる額が出せないと、どの手続きを選べるかが決まらないためです。
給与明細と、家賃・光熱費・通信費・保険料の額を揃えておきます。持ち家や車があるかどうかも、手続きの選択に効きます。
費用の聞き方
1社あたりなのか総額なのかを必ず確かめます。 債務整理の費用は債権者の数で変わるので、ここを聞かないと総額が出ません。
聞く項目を並べます。
- 着手金は1社あたりか、総額か
- 報酬金はいくらか
- 減額できた場合に別の報酬が乗るか
- 払いすぎた分が戻った場合の報酬はいくらか
- 実費(郵送料・印紙代など)は別か
- 分割で払えるか
「費用は一切かかりません」とだけ言われた場合は、何が含まれているのかを聞くところです。
費目の分かれ方と、裁判所に納める予納金・法テラスの立替えについては債務整理の弁護士費用は1社あたりか総額かで変わるにまとめました。
相談の前に返してしまわない
資料を集めているあいだに、親や知人からの借りだけ先に返したくなることがあります。そこは待ってください。返した分が後で戻されることがあり、時期によっては免責の判断にも響きます。範囲は偏頗弁済はどこまで戻されるかにまとめました。
家族の借入は別に数える
同居している家族の借金は、こちらの手続きの対象になりません。契約している人ごとに別の話になります。
一方で、自分が保証人になっている契約はこちらの債務です。借りた覚えがなくても、保証をしていれば残高として数えます。
保証をしているかどうかは、契約したときの書面か、信用情報の開示で確かめられます。
公的な窓口
依頼する前に相談できる場所があります。
法テラス(日本司法支援センター)は、収入等の条件を満たす場合に無料の法律相談を扱っています。各地の弁護士会・司法書士会にも相談窓口があります。請求の内容でもめている場合は、消費者ホットライン 188 が窓口になります。
急かされたと感じたら、いったん持ち帰ってこれらの窓口で聞けます。
相談の場で決めなくてよい
その場で契約しなければならない理由は、制度の側にはありません。費用の説明を受けて、持ち帰って考えられます。
複数の事務所で話を聞いて比べることもできます。急かされたと感じたら、そこが判断のしどころです。
相談先を選ぶときに見るところ
書類が揃ったら相談先を決めることになります。ここで見るのは費用より先に、その相手がどこまで代理できるかです。司法書士は1社あたり140万円までで、認定を受けた司法書士に限られます。
大阪のアース司法書士事務所は、事務所紹介のページに代表者の認定番号(第612074号)と大阪司法書士会の登録番号を載せていて、番号から司法書士会に確かめられます。費用の書き方まで含めた見方は司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるにあります。
まとめ
- 相談で要るのは総額ではなく、借入先ごとの残高
- 貸金業法19条の2で、帳簿の閲覧や謄写を請求できる
- 完済した相手にも請求できる。貸金業者は原則として拒めない
- 帳簿には契約年月日・貸付けの金額・受領金額が記載されている
- 口座振込で返している場合、受取証書は請求しないと出ない
- 費用は1社あたりか総額かを必ず確かめる