免責の申立ては別にしなくてよい|手続きの流れ
自己破産と免責は別の手続きです。破産手続で財産を清算し、そのうえで残った債務の支払いを免れるかどうかを免責で決めます。返済の義務が無くなるのは免責許可の決定が確定したときで、破産の決定とは別です。
別の手続きですが、申立てを2回する必要はありません。
自分で申し立てたなら、同時にしたものとみなされる(破産法248条4項)
破産法248条4項です。
債務者が破産手続開始の申立てをした場合には、当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなす。ただし、当該債務者が破産手続開始の申立ての際に反対の意思を表示しているときは、この限りでない。
自分で破産手続開始を申し立てたなら、免責許可の申立ても同時にしたことになります。別の書面を出す必要はありません。
ただし書きが効くのは、申立ての際に反対の意思を表示した場合だけです。あとから「免責は求めない」と言う場面ではなく、最初の申立てのときが分かれ目になります。
みなされない場合もあります。債権者のほうから破産手続開始が申し立てられたときです。その場合は自分で免責許可の申立てをすることになります。
期限は決定が確定した日から1か月(248条1項・5項)
同条1項が期間を置いています。
個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては、破産者。第四項を除き、以下この節において同じ。)は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に、破産裁判所に対し、免責許可の申立てをすることができる。
始まりは破産手続開始の申立てがあった日、終わりは開始決定が確定した日以後1か月です。2項に、責めに帰することができない事由で出せなかった場合の救済があります。その事由が消滅した後1か月以内に限られます。
始まり
- 破産手続開始の申立てがあった日
終わり
- 開始決定が確定した日以後1か月を経過する日
窓は開始決定の確定をまたいで開いている。破産の申立てと同時に出せる
同条3項は、申立てに債権者名簿を付けることを求めています。
免責許可の申立てをするには、最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者名簿を提出しなければならない。
同項ただし書きにより、同時に出せないときは申立ての後に遅滞なく出せば足ります。
調査に協力する義務がある
免責を決めるまでに、裁判所や破産管財人が調べます。250条2項です。
破産者は、前項に規定する事項について裁判所が行う調査又は同項の規定により破産管財人が行う調査に協力しなければならない。
協力は権利ではなく義務として書かれています。何を調べるかは同条1項で、252条1項各号の免責不許可事由の有無などです。不許可事由の中身は自己破産の条件は金額では決まらないで条文から扱っています。
この場面で裁判所が破産者から事情を聴く期日を、実務では免責審尋と呼びます。破産法にこの言葉は出てきません。250条の調査を進めるための運用上の呼び名です。
債権者が意見を述べる期間がある
251条1項により、裁判所は免責許可の決定をすることの当否について、破産管財人と破産債権者が意見を述べられる期間を定めます。同条3項が長さを決めています。
第一項の期間は、前項の規定による公告が効力を生じた日から起算して一月以上でなければならない。
1か月以上です。公告が効力を生じた日から数えます。申立てが済んでも、この期間が終わるまで決定は出ません。
意見を述べられない債権者もいます。253条1項各号の請求権を持つ者は除かれます。税金など免責されない請求権を持つ人で、そもそも免責の影響を受けないためです。何が残るかは慰謝料が自己破産で消えるかは2号と3号で分かれるで扱っています。
他の手続きと同時には進められない
248条6項と7項が、他の申立てとの関係を決めています。
6項は、免責許可の申立てをしたときは、破産手続廃止の申立てや再生手続開始の申立てをすることができない、としています。
7項は逆向きで、それらの申立てを先にしたときは、その申立てについての決定が確定した後でなければ免責許可の申立てができません。
どちらに進むかを先に決める形になっています。自己破産と個人再生を並行して検討している段階なら、申し立てる前に決めることになります。比べ方は個人再生と自己破産の違いにまとめました。
不許可事由があっても許可されることがある
調査で252条1項各号の事由が見つかっても、そこで終わりではありません。同条2項が、裁判所の判断で許可できる場合を置いています。
考えるのは「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情」で、免責を許可することが相当と認めるときは免責許可の決定ができる、という書き方です。実務ではこれを裁量免責と呼びます。
**だから調査への協力が効いてきます。**経緯を説明する材料を出せるかどうかで、2項の判断に使える事情が変わります。250条2項の協力義務は、破産者にとって不利なだけの決まりではありません。
決定が出たあとの送達も条文にあります。許可のときは破産者と管財人に裁判書、債権者には主文を記載した書面(同3項)。不許可のときは破産者に裁判書だけ(同4項)です。
決定が出てからも時間がある
免責許可の決定が出ても、その場で確定するわけではありません。確定するまでは不服を申し立てられる期間があるためです。
復権の時期もここに紐づいていて、255条1項1号は免責許可の決定が確定したときに復権すると定めています。資格の制限が終わる日は、決定の日ではなく確定の日で決まります。
時間がかかる理由が条文にある
「なぜこんなに待つのか」という疑問は、この2つで説明が付きます。調査があること、そして意見申述の期間が1か月以上と決まっていることです。
| かかる部分 | 根拠 |
|---|---|
| 財産と免責不許可事由の調査 | 250条1項 |
| 債権者と管財人が意見を述べる期間 | 251条3項(1か月以上) |
管財人を付けずに進める同時廃止か、管財かでも進み方が変わります。費用と合わせた違いは自己破産の費用は同時廃止か管財かで変わるにあります。
書類を作る人と、代理する人
免責の手続きでやることの中心は、裁判所へ出す書類です。司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるで書いたとおり、認定を受けた司法書士が代理できるのは1件140万円までの裁判外の和解で、自己破産の申立てはその範囲に入りません。司法書士が行うのは書類の作成です。
このサイトが載せているアース司法書士事務所は、事務所紹介のページに認定番号(第612074号)を載せています。報酬のほうは、認定の範囲で代理する任意整理と、書類の作成にあたる自己破産とを別の項目に分けていて、自己破産の基本報酬は88,000円〜(税込・別途、予納金等の実費)です(2026年8月30日確認)。どちらも「〜」付きの下限なので、確定額は見積もりで聞くことになります。
依頼する前に、その事務所が代理するのか書類を作るのかを確かめてください。
代理してもらう側を選ぶなら、相手は弁護士になります。シン・イストワール法律事務所は費用のページに、自己破産の着手金を出しています。同時廃止事件(管財人を付けずに進める手続き)が407,000円、少額管財事件が506,000円です。いずれも債権者1社あたり11,000円が追加され、実費が別にかかります。初回の相談料は無料としています(2026年9月1日確認)。
書類だけ作ってもらう場合と、申立てから代理してもらう場合で費用の形が違います。免責の審尋に自分で行くかどうかも、そこで変わります。免責は裁判所が判断するので、どちらに頼んでも結果を約束できる人はいません。
ここまでで分かること
- 自分で破産手続開始を申し立てたら、免責許可の申立てもしたものとみなされる(248条4項)
- 別扱いになるのは、申立ての際に反対の意思を表示したときだけ
- 債権者から申し立てられた場合は、自分で免責許可の申立てをする
- 期限は開始決定が確定した日以後1か月を経過する日まで(同1項)
- 破産者には調査に協力する義務がある(250条2項)
- 債権者と管財人が意見を述べる期間は1か月以上(251条3項)
- 「免責審尋」は条文に無い呼び名で、250条の調査を進めるための運用上のもの