借金の整理を確かめる

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自己破産の条件は金額では決まらない

公開

「いくらから自己破産できるのか」という調べ方をよく見ます。破産法を開くと、金額の線はどこにも書かれていません。書かれているのは支払不能という状態です。

開始の原因は支払不能

破産法15条1項です。

債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。

支払不能が何かは、同じ法律の2条11項が定めています。

この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。

括弧の中は信託財産が破産した場合の読み替えなので、個人の借金の話には関わりません。残るのは「支払能力を欠くために」「弁済期にあるものにつき」「一般的かつ継続的に」という言葉です。

  • 支払能力を欠く … 収入・財産・信用を合わせても払えない
  • 弁済期にあるもの … まだ期限が来ていない分は数えない
  • 一般的かつ継続的 … たまたま今月払えないのは当たらない

だから同じ300万円でも、収入と支出の形で結論が変わります。金額だけで判定できる書き方は、条文の要件と合っていません。

支払を止めると推定される

15条2項に推定の規定があります。

債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

推定なので、覆される余地は残ります。ただ、支払を止めている状態は支払不能の側へ寄せて扱われる、という向きになります。

依頼を受けた側が出す通知で取立てが止まります。仕組みは受任通知が届くと取立てが止まるにまとめました。

申立てが通らない場合も書かれている

破産法30条1項は、開始の原因があっても決定をしない場合を挙げています。1号が「破産手続の費用の予納がないとき」、2号が「不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき」です。

1号は費用の話なので、金額の目処は財産が少ないときは管財人を付けない形で進みます。自己破産の費用は同時廃止か管財かで変わるにまとめました。なお同号には括弧書きがあり、費用を仮に国庫から支弁する場合は除かれます。

免責は「該当しない場合には決定をする」

ここが読み間違えられやすいところです。破産法252条1項の柱書です。

裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

書き方が「該当しないなら決定をする」なので、原則と例外の向きが逆です。列挙された事由に当たらない限り、返済の義務が無くなる免責許可の決定が出ることになります。

列挙は11号まであります。よく話題になるのは4号です。

決定が出るまでの順序は別にあります。申立てが要るのか、調査に何を求められるのか、債権者が意見を述べる期間はどれくらいかを免責の申立ては別にしなくてよいにまとめました。

浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

ほかに、財産を隠した場合(1号)、特定の債権者にだけ有利な返済をした場合(3号)、帳簿や書類を偽った場合(6号)、虚偽の債権者名簿を出した場合(7号)、裁判所の調査で説明を拒んだ場合(8号)などが並びます。

10号は期間の規定で、前に免責許可の決定が確定した場合などは、その確定の日から7年以内の申立てが事由になります。

該当しても許可できる規定がある

252条2項です。この条文があることが、この記事でいちばん伝えたい点です。

前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

つまり「ギャンブルの借金だから免責されない」と条文が決めているわけではありません。4号に当たるかどうかと、2項で許可するかどうかは別の判断です。

ただし許可されると決まっているわけでもありません。どちらに転ぶかは裁判所が事情を見て決めるので、事前には分かりません。

252条1項柱書

  • 事由に該当しないなら免責許可の決定をする

252条1項各号

  • 該当すると許可しない方向に働く事由

252条2項

  • 該当しても、事情を考慮して許可できる

各号に当たっても終わりではない。どちらに転ぶかは裁判所が事情を見て決める

免責の条文は、原則・例外・その例外の3段で組まれている

相談の前にやりがちで、事由に当たりうること

252条1項の各号は、悪意のある行為ばかりではありません。借金が苦しくなった人が、良かれと思ってやってしまう形のものが混ざっています。

3号は、特定の債権者にだけ有利な返済をした場合です。親や友人からの借入だけを先に返すのは、この形に当たりえます。返した相手が身内でも、他の債権者から見れば扱いが違うことになります。

7号は、虚偽の債権者名簿を出した場合です。「この1社は迷惑をかけたくないから書かない」という省き方が、これに当たりえます。債権者名簿は全部を書くものなので、選んで載せる書類ではありません。

1号は、財産を隠したり、不当に減らしたりした場合です。申立ての直前に預金を親族の口座へ移すのは、この形に近づきます。

いずれも、やってしまってから相談するより、やる前に相談するほうが選択肢が残ります。取立てが来ている段階で何ができるかは受任通知が届くと取立てが止まるにまとめました。給料の差押えが始まっている場合にいくら残るかは給料の差押えは4分の3が禁止で、上限が政令にあるにあります。

支払不能かどうかを自分で見積もる

条文の3つの要素は、そのまま手元の数字に落とせます。

  1. 弁済期が来ている債務だけを足す(まだ期限前の分は外す)
  2. 毎月の収入から、生活に要る支出を引く
  3. 1を2で割って、完済までに何年かかるかを出す

出た年数が現実的でないなら、支払能力を欠く状態に近づきます。2で引く支出は、実際に払っているもので数えます。切り詰めた想定にすると判断が甘くなり、相談したときに話が食い違います。

なお、この見積もりは自分の状況を整理するためのもので、支払不能かどうかを決めるのは裁判所です。他の手続きのほうが合う場合もあるので、4つの並びは債務整理の種類は決める人で分かれるで見比べてください。

誰に頼むかは金額で分かれる

自己破産の申立てで司法書士が行うのは、裁判所に提出する書類の作成です。代理人として手続きを進めるのとは別のもので、司法書士法3条1項7号が定める裁判外の和解の代理は1件140万円までという線とも、扱いが違います。

詳しくは司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるにまとめました。個人再生との違いは個人再生と自己破産は残せるものが違うにあります。

手続きに入ると起きること

官報に載ることと、信用情報に記録が残ることは別の話です。

相談の前に手元にそろえるもの

  1. 借入先ごとの残高と、最後に返済した日
  2. 直近の収入が分かるもの
  3. 財産(預貯金・保険・車・不動産)の一覧
  4. 家計の毎月の支出

支払不能かどうかは1から4の関係で決まるので、どれが欠けても判断できません。取り寄せの手順は相談の前に取引履歴を取り寄せるにまとめました。

迷ったときの窓口

法テラス(日本司法支援センター)は、収入等の条件を満たす場合に無料の法律相談を扱っています。各地の弁護士会・司法書士会にも相談窓口があります。貸金業者とのやり取りでもめている場合は、消費者ホットライン 188 が窓口になります。

手続きを終えたあとに何が残るのかは、自己破産が家族に及ぶ範囲は、条文で限られているで条文から整理しました。

自己破産で司法書士ができること

条件を確かめたあとに出てくるのが、誰に頼むかです。自己破産の申立ての代理は司法書士の業務に入っていません。司法書士が行うのは書類の作成です。任意整理なら1社あたり140万円まで代理できますが、認定を受けた司法書士に限られます。

認定を確かめられる例として、大阪のアース司法書士事務所は、事務所紹介のページに代表者の認定番号(第612074号)と大阪司法書士会の登録番号を載せています。役割の分かれ方は司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるにまとめました。

申立ての代理まで頼むなら、相手は弁護士になります。シン・イストワール法律事務所のような法律事務所なら、書類の作成だけでなく裁判所での手続きも代理できます。どちらに頼むかは、任意整理で済むのか、破産や個人再生に進むのかで変わります。

車がどうなるかは条文の当てはめが分かれます。自己破産で車がどうなるかは、名義と価値で分かれるにまとめました。

まとめ

  • 破産法に金額の線は無い。書かれているのは支払不能という状態
  • 支払不能は2条11項が定義していて、収入・財産・信用を合わせて見る
  • 15条2項により、支払を停止すると支払不能にあるものと推定される
  • 252条1項は「事由に該当しない場合には免責許可の決定をする」と書いている
  • 252条2項により、事由に該当しても裁判所が許可できる
  • 1項の各号には、身内にだけ返す・1社を名簿から省くといった形も入りうる
  • 司法書士が自己破産で行うのは書類の作成で、代理ではない

免責不許可事由に当たることを隠した場合にどうなるかは自己破産で隠すと罰則があるにまとめました。

紹介した事務所の資格と料金

事務所運営会社誰が手続きをするか料金公式サイトで確認した内容
アース司法書士事務所アース司法書士事務所(代表 近藤陽介・大阪市北区)認定司法書士(認定を確認)
簡裁訴訟代理等関係業務の認定 第612074号(大阪司法書士会 登録番号3331)
任意整理の基本報酬が「取引中 1社あたり 11,000円〜(税込)」と下限でしか示されていないため金額を掲載していません。完済分は1社あたり0円、過払い報酬は訴訟によらずに回収した場合で回収額の20%(税込)、訴訟による場合は25%(税込)。「裁判書類作成業務及び付随業務費用」として、司法書士の代理権を超える場合は1社につき315,000円(税込)と別に示されています。減額報酬とオプション報酬は「当事務所では頂戴いたしません」と書かれています。いずれも別途、実費と交通費がかかると書かれています(2026-08-30 再確認)事務所紹介のページに代表者の認定番号(第612074号)と大阪司法書士会の登録番号3331が載っている。報酬ページは任意整理・個人再生・自己破産の基本報酬をいずれも「〜」付きの下限で示している。同ページとトップページで料金表の項目数が違い、「裁判書類作成業務及び付随業務費用(司法書士の代理権を超える場合、1社につき315,000円)」の行はトップページの報酬一覧にだけある(2026-08-30 再確認)。各ページの下部に「法律相談は、司法書士法第三条第一項第六号及び第八号に定められた事項に限ります」と自ら書いている
シン・イストワール法律事務所弁護士法人イストワール法律事務所(代表弁護士 田島聡泰)弁護士(登録を確認)
弁護士登録番号 60436(代表弁護士 田島聡泰)
費用は税込のテキストで一覧になっています。任意整理の着手金は1社につき58,300円、減額報酬は減額分の11%。自己破産の申立ては同時廃止事件の着手金が407,000円、少額管財事件が506,000円で、いずれも債権者1社あたり11,000円が追加され、実費(印紙・郵券代等)が別途かかります。個人民事再生は住宅ローンなしで506,000円、住宅資金特別条項を利用する場合が605,000円。過払い金返還請求は残債務がない場合に着手金無料です。初回相談料は無料と書かれています(2026年9月1日確認)。公式サイトに「シン・イストワール法律事務所」「代表者:代表弁護士 田島聡泰(登録番号60436)」の記載があります。**A8 のプログラム名は「弁護士法人イストワール法律事務所」ですが、公式サイトの表示は「シン・イストワール法律事務所」**なので、記事ではサイト側の名称を使っています。闇金・給与ファクタリングの案件も扱うと明記されていて、着手金が別建てになっています(闇金1件53,900円など)。

料金は各事務所の公式サイトで、税込価格が文章で明示されているものだけを掲載しています。 「誰が手続きをするか」は、弁護士の登録または簡裁訴訟代理等関係業務の認定を 各社の公式サイトで探した結果です。司法書士が任意整理を代理できるのは 1件140万円までで(司法書士法3条1項7号・裁判所法33条1項1号)、しかも認定を 受けた司法書士に限られます。公式サイトで見つからないことは、認定が無いことを意味しません。

出典

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アース司法書士事務所(代表 近藤陽介・大阪市北区)・相談は無料|広告