自己破産で隠すとバレるし罰則がある
自己破産の相談でよく出るのが、財産や借りた理由を伝えなくてよいかという話です。破産法には、伝えなければならないと書かれています。
説明する義務が条文にある
破産法40条1項です。
次に掲げる者は、破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。
続く号の1番目が破産者本人です。2項で、かつて代理人や役員だった人にも準用されます。
「必要な説明」の範囲は条文に列挙されていません。破産管財人が必要と判断したことが対象になります。
拒むか嘘をつくと罰則が付く
268条1項が罰則を定めています。
説明を拒み、又は虚偽の説明をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
答えないことと、事実と違うことを言うことが同じ扱いです。黙っていれば罰則を避けられる、という組み立てにはなっていません。
3項では、83条の検査を拒んだ場合も同じ罰則になると書かれています。
財産を隠すと詐欺破産罪
隠す行為には別の罪があります。破産法265条の詐欺破産罪です。
説明を拒む・虚偽の説明
- 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
財産の隠匿・損壊など
- 10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金
隠すほうが重い。265条の詐欺破産罪は別に置かれている
265条1項が挙げる行為は、財産を隠すか壊すこと、譲渡や債務の負担を装うこと、現状を変えて価値を下げること、債権者に不利益な処分をすることです。破産手続開始の前後を問わないと書かれているので、申立てより前にやったことも対象になります。
事情を知って相手方になった人も同じ罰則です。名義を貸した家族が巻き込まれることがあります。
免責が出たあとでも取り消される
返済の義務が無くなる免責許可の決定が出れば終わり、ではありません。254条があります。
265条の罪で有罪判決が確定したときは、裁判所が免責取消しの決定をすることができます。不正の方法で免責許可が出た場合も、債権者が1年以内に申し立てれば同じです。
取消しが確定すると、免責許可の決定は効力を失います。消えたはずの借金が戻ることになります。
免責不許可事由にも並んでいる
そもそも免責の段階でも見られます。252条1項が事由を列挙していて、説明に関わるものだけでも次が入っています。
- 帳簿や書類を隠したり偽造したりしたこと(6号)
- 虚偽の債権者名簿を提出したこと(7号)
- 裁判所の調査で説明を拒むか虚偽の説明をしたこと(8号)
- 40条1項1号の義務に違反したこと(11号)
説明義務の違反は、罰則と免責不許可の両方に効いてきます。
ただし252条2項に、事由に該当しても一切の事情を考慮して許可できる規定があります。条件そのものは自己破産の条件にまとめました。
隠しても分かる仕組みになっている
破産管財人には調査の権限があります。83条が調査を定め、拒めば268条3項の罰則が付きます。
管財人は通帳の取引履歴、生命保険の解約返戻金、退職金の見込額、不動産の登記などを自分で確認します。申告と食い違えば、その場で聞かれることになります。
家計の記録を求められるのも同じ流れです。数字が合わないこと自体が問題なのではなく、説明を求められたときに答えられるかどうかが見られます。
同時廃止と管財事件で調べられ方が違う
財産がほとんどなければ管財人を付けない同時廃止になり、破産管財人が選ばれません。その場合、40条の説明義務は管財人の請求を前提にしているので、実際に説明を求める相手は裁判所になります。
隠している疑いがあると判断されると、同時廃止ではなく管財事件に振られます。管財人が付けば通帳も保険も自分で調べられるので、隠したことがきっかけで調査の密度が上がる形になります。
管財事件になると予納金が増えるので、費用の面でも不利になります。手続きごとの費用は自己破産の費用にまとめました。
財産を先に移すと戻される
申立ての前に家や車を家族へ移す相談がありますが、これも別の規定に当たります。破産法は160条から176条までで否認権を定めていて、債権者を害する行為は管財人が否認して財団に戻せます。
否認は罰則ではありませんが、移した先の家族が返す立場になります。265条の対象にもなりうるので、二重に不利になります。
移すのではなく、一部の相手にだけ返した場合も同じ節の条文に当たります。さかのぼる範囲が行為の種類で変わるので、偏頗弁済はどこまで戻されるかに分けました。
車を手放すかどうかの判断は自己破産と車に分けました。
復権はいつ来るか
免責が確定すると資格の制限は解けますが、条文上の復権にはもう1つ道があります。256条1項です。
弁済その他の方法で債権者に対する債務の全部について責任を免れたときは、破産者の申立てにより裁判所が復権の決定をしなければならない、とされています。申立てがあると公告され、債権者は3か月以内に意見を述べられます。
免責によって責任を免れた場合は、その確定で当然に復権します。申立てが要るのは、免責によらずに完済したような場合です。どちらの経路でも、復権すれば資格の制限は残りません。
話すほうが結果として軽い
252条2項があるので、事由に当たる事情があっても免責が出ることはあります。浪費や賭博で作った借金でも、経緯を説明したうえで許可されることがあります。
一方、隠して発覚した場合は、免責不許可に加えて罰則と取消しが乗ります。隠すことで得られるものより、失うもののほうが大きい形になっています。
依頼する相手を選ぶ段階から正直に話しておくほうが、方針も立てやすくなります。誰に頼むかは司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるに分けました。
そもそも誰に伝わるのかは、自己破産が家族に知られるのは通知ではなく保証人からに条文の列挙から整理しています。
まとめ
- 破産者には説明義務がある(40条1項)
- 拒むことと嘘をつくことは同じ罰則(268条1項)
- 財産を隠すのは詐欺破産罪で10年以下(265条)
- 免責が出たあとでも取り消される(254条)
- 説明義務の違反は免責不許可事由にも入っている(252条1項11号)
- 事由に当たっても許可できる規定があるので、話すほうが軽く済む