債務整理でクレジットカードはどうなるか
債務整理をするとクレジットカードが使えなくなる、とよく言われます。ただしそう定めた条文はありません。起きているのは、別々の2つの義務が組み合わさった結果です。
契約の情報は登録される
割賦販売法35条の3の56第2項が、業者に登録の義務を課しています。
加入包括信用購入あつせん業者又は加入個別信用購入あつせん業者は、購入者又は役務の提供を受ける者を相手方とする包括信用購入あつせん関係受領契約又は個別信用購入あつせん関係受領契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約に係る基礎特定信用情報を加入指定信用情報機関(特定信用情報提供契約を締結した指定信用情報機関をいう。以下同じ。)に提供しなければならない。
契約したときに登録する、という規定です。同じ条の3項が変更の側を決めています。
前二項の規定による基礎特定信用情報の提供をした加入包括信用購入あつせん業者又は加入個別信用購入あつせん業者は、当該提供をした基礎特定信用情報に変更があつたときは、遅滞なく、その変更内容を加入指定信用情報機関に提供しなければならない。
変更があれば遅滞なく出す、と書かれています。債務整理は支払いの条件が変わる手続きなので、この「変更」にあたります。
登録される中身は1項に並んでいて、氏名と住所、契約年月日、支払時期が到来していない債務の額などです。どの手続きを選んだかという項目は条文に出てきません。何が入っているかは債務整理のブラックリストは何年で消えるかにまとめました。
新しく作るときは照会される
もう一方の義務が30条の2にあります。
包括信用購入あつせん業者は、包括信用購入あつせんをするためカード等を利用者(個人である利用者に限る。以下この条、次条、第三十条の五の五、第三十条の五の六、第三十五条の二の四、第三十五条の二の五及び第三節において同じ。)に交付し若しくは付与しようとする場合又は利用者に交付し若しくは付与したカード等についてそれに係る極度額(包括信用購入あつせんに係る購入又は受領の方法により商品若しくは権利を購入し、又は役務を受領することができる額の上限であつて、あらかじめ定められたものをいう。以下同じ。)を増額しようとする場合には、その交付若しくは付与又はその増額に先立つて、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、年収、預貯金、信用購入あつせん(包括信用購入あつせん及び個別信用購入あつせんをいう。以下同じ。)に係る債務の支払の状況、借入れの状況その他の当該利用者の包括支払可能見込額を算定するために必要な事項として経済産業省令・内閣府令で定めるものを調査しなければならない。
カードを出すとき、この調査を省けません。そして調査には指定信用情報機関の記録を使います。だから登録が残っているあいだは、新しいカードの審査でその記録が見られます。
今持っているカードは別の話
ここで分けて考える必要があります。新規の発行が難しくなることと、すでに持っているカードが止まることは、根拠が違います。
新しいカードが作りにくい
- 30条の2の調査義務
- 35条の3の56の登録義務
今のカードが止まる
- 条文には無い
- 会員規約による
違うのは根拠が法律にあるかどうか。割賦販売法には、発行済みのカードを止めろという規定が無い
割賦販売法には、発行済みのカードを止めろという規定も、極度額を下げろという規定もありません。止まるとすれば、それは規約に基づく各社の判断です。
支払いが遅れているときの手順
未払いを理由に契約を切られる場面には、条文の側に手順があります。30条の2の4です。20日以上の期間を定めて書面で催告し、その期間内に支払われないときでなければ、遅滞を理由に解除も一括請求もできません。
2項が「前項の規定に反する特約は、無効とする」としているので、規約でこの日数より短くすることはできません。
ただし日数のほうは、条文が場合を分けています。極度額10万円以下のカードや少額の後払いでは7日になることがあり、根拠は30条の5の7と35条の2の6です。読み替えの中身は期限の利益の喪失|残り全部が一度に来るにまとめました。
債務整理を始めると、依頼を受けた側が出す受任通知が届いて取立てが止まりますが、それとこの手続きは別のものです。取立てが止まる根拠は受任通知が届くと取立てが止まるにあります。
引き落としに使っているカードがあるとき
公共料金や通信料をカード払いにしている場合は、そのカードが止まると支払い方法を変える必要が出てきます。手続きに入る前に、何をカード払いにしているかを書き出しておくと、止まってから慌てずに済みます。
家族カードを出している場合も、本会員の契約が終われば一緒に使えなくなります。先に伝えておくかどうかは、自己破産が家族にバレるのは通知ではなく保証人からで扱った判断と同じ考え方になります。
同意なしには照会されない
信用情報のやりとりには、もう1つ条文の縛りがあります。35条の3の57が、照会にも登録にも本人の同意を要求しています。
1項は、指定信用情報機関へ照会するときに、あらかじめ書面または電磁的方法で同意を得なければならないとしています。2項は契約するときの規定で、登録すること、他の加盟業者へ提供すること、他の機関の加盟業者へ提供することの3つについて同意を得るよう求めています。
申込書に細かい字で並んでいる同意欄は、この条文に対応するものです。3項は同意の記録を作って保存するよう定めているので、いつ何に同意したかは業者の側に残っています。
同意しなければ照会されませんが、同時にカードも作れません。 30条の2が調査を義務づけていて、その調査に指定信用情報機関の記録を使うためです。
使い道を先に分けておく
手続きに入る前に、カードで何をしているかを3つに分けると整理しやすくなります。
- 毎月の固定費(通信料・電気・保険料)
- 都度の買い物
- 本人確認や与信の代わりに使っているもの(賃貸の保証、サブスクの登録)
止まって困るのは1と3です。2は現金や口座振替に移せば済みますが、1は引き落としの変更に日数がかかり、3は代わりの手段を探すことになります。
このうち賃貸の保証は、カードとは別に保証会社の審査があります。仕組みは債務整理のあとの賃貸は、審査するのが大家ではないにまとめました。
デビットカードは別の仕組み
代わりの手段を探すときに出てくるのがデビットカードです。こちらは口座の残高から即時に引き落とす仕組みなので、後払いを前提とした包括信用購入あっせんにあたりません。
割賦販売法が調査を義務づけているのは、代金を立て替えて後から受け取る形の取引です。即時に引き落とすものはその形になりません。だから支払可能見込額の調査も、指定信用情報機関への照会も、条文上は必要とされていません。
同じ理由で、翌月一括払いだけの契約も過剰与信の防止義務の対象から外れます。そのあたりの区別は債務整理のブラックリストは何年で消えるかでも触れています。
記録が消えたあと
登録には保有期間があり、過ぎると消えます。期間と数え方は債務整理のブラックリストは何年で消えるかにまとめました。
消えたあとに作れるかどうかは、各社の判断なので条文からは言えません。確かめられるのは、自分の記録がどうなっているかまでです。開示は何度でもできるので、作る前に見ておくと空振りを減らせます。
まとめ
- 債務整理でカードが使えなくなると定めた条文は無い
- 契約したときに登録され、変更があれば遅滞なく出される(35条の3の56の2項・3項)
- カードを出すときの調査は省けない(30条の2)。だから記録が残るあいだは見られる
- **今持っているカードが止まるのは規約による。**条文には根拠が無い
- 未払いでの解除には20日以上の催告が要り、短くする特約は無効(30条の2の4)
- カード払いにしているものは、手続きの前に書き出しておく
誰に頼めるかは、1社あたりの額で決まる
任意整理を代理できるのは弁護士と、認定を受けた司法書士です。司法書士の側には1社あたり140万円という上限があります(司法書士法3条1項7号)。総額ではなく1社ずつで見るので、合計が140万円を超えていても収まることがあります。線の引き方は司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるにまとめました。
記事末尾の表に挙げたアース司法書士事務所は、任意整理の基本報酬を取引中の会社1社あたり「11,000円〜(税込)」、完済している会社は「1社あたり 0円」と分けて示しています。減額報酬とオプション報酬は「当事務所では頂戴いたしません」と書かれています。下限だけの数字なので、当サイトでは金額として掲載していません(2026年8月31日確認)。
先に、どの会社にいくら残っているかを1社ずつ書き出してください。そこが分からないと、どちらに頼むかも費用も決まりません。